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「明日へ続く光」13~運命最終話自己補完小説

今までざわめいていた心はどこに行ってしまったのだろう、非常に落ち着いていて怖いぐらいだ。
思えばいつも何かに怒っていたような気がする、今はそんな気力もないのかもしれない。
突然家族を亡くした、その悲しみを怒りに変えてきた。ただ、あのときの哀しみを忘れないためだけに。
二度と、自分のように悲しむ人がいないように、そう願いながら、戦争を憎みながら戦った。
いつまでも被害者だった、MSに乗るようになってもその意識は続いていたように思う。



少し眠っていたようだ。徐々に開けてきた視界はまだ狭く、自分を酷く矮小にさせた。
こんな風にしか自分は世界を見ていなかったのかと思わせて心を沈ませた、見ていられなくてもう一度瞳を閉じた。
だが、心に反して身体はとても楽だった。いつもはそんな風に考えたこともなかったパイロットスーツ、本当は窮屈だったのかもしれない。脱がされてとても楽で、重力の感じられる場所で寝かされている今、とても身体が軽い。そう感じるのは身体の奥底に澱みのように凝っていた何かを吹っ切ったからだろうか。
胸の芯から温かくなっていて、その心地よさに少しまどろんでいた。

「・・・目が覚めたか?」

低音に響く声、聞き覚えがあった。まだ視界は狭く、それでもそちらの方に目を向けると豪奢な金髪を揺らす男に行き着いた。
(レイ・・・?)
その綺麗な色の長めの金髪、一人しか思い浮かばない、ミネルバで同室のアカデミーも同期だった、レイ。彼がいると思った。
「大丈夫か?坊主」
違う、誰だろう・・・。
シンは目を凝らそうと自然と瞼を擦ってその先を鮮明に映そうと躍起になった。その子供のような仕草に男は少し微笑んだようだった。
「まだ、辛ければ寝ていればいい」
「・・・い、え・・・もう」
明けた視界に映ったのは心配そうに自分を見る見知らぬ男。顔の中央、鼻に掛かかった傷跡が左頬に伸びるそれに一瞬驚いた。が、それをすぎると冷静に頭が働き出す、男はオーヴの軍服を着ていて周りを見渡すと、見たこともない医務室のベットでの上に自分は寝かされていた。そうだ、ここはアークエンジェルだ、あんなに恨めしく敵視していた戦艦、そこに今いるのだとわかる。
思わず起き上がって身構えた、自分はこの艦にとっては敵だ、そして最も厄介な相手だと認識されているだろう。自分たちがそうであったように。
シンは警戒をとかなかった、そして同じようにして来たはずのルナマリアを視線で探した。その様子に気付いて帰ってきた来た答えはこうだった。
「拘束するつもりもない、連れの彼女も別室にいる、心配しなくていい。それより身体は?」
なんだろう、この柔らかい空気。およそ敵国の兵士に対する応対ではない、身元がわからないわけでもないだろうし、なぜこんなにも親切なのだろうか。穏やかな感情でいられるのだろう。
それにシンはこの真摯な対応やこの男から醸し出される雰囲気を確かに覚っていた。だが、はっきりとは思い出せなかった。
「まだ具合が悪いなら・・・」
「いえ、あのそれより・・・?」
シンは歯切れ悪く問いかけた。見上げられてバツが悪そうに頭を掻きつつ
「覚えてないか?というよりわからないだろうな」
と自嘲気味に男は息を吐く、そしてシンの寝ているベッドの横に付随していた椅子にかけた。
「あの時の俺は俺であった俺でなかったからな。だが俺はお前との約束を護れなかった」
約束?そのキーワードにシンは反応した、その声、イントネーション。
「・・・約束??」
シンは呟き、そしてその男をもう一度真正面から見る。顔には覚えがない・・・そうではない!見覚えがないのではなく、あの時は素顔がわからなかったのだ!
「・・・もしか、して・・・『ネオ』・・・?」
「・・・そうだ」
苦々しく肯定され、シンは爆発的にネオの胸倉を掴んだ。
「アンタ・・・!」
勿論、どうしてAAに?とも思った。だがそれよりも重要な一人の少女のことが過ぎった。
護られなかった約束、それはステラの死と何をもたらしたのかを。
「お前とした約束、俺は護れなかった。いや、約束を護れないことはわかっていた、あの時から」
そう振り返る男はあの時と変わらずやはり態度は温かくてシンを惑わせる。だが締め上げる手は止まらない。
「・・・君にすまなかった、と一言言いたかった」
護れない約束をしたこと、を。
シンを安心させる、優しい嘘をついたのだ、今なら解るシンはそう思った。
シンはステラを返した時、必ず優しくあったかい世界に帰してくれと叫び、約束に安堵しミネルバに帰った。あの時のシンはその行動を正しいと信じ何の罪もないステラを託したことを正当化した。
彼女は自分の意思で戦っていたのではないのだから、被害者なのだから、と。
だが、約束は履行されず、また戦場で見えた。そして彼女は多くの人を殺し街を焼いた。
それは誰が悪いのか?
ステラか、約束を守ってくれなかったネオか・・・こうなるかもしれないと予測しながらも自分の行動が正しいと信じて疑わなかったあの頃の自分か?

急に思い出すアスランの台詞。
『・・・彼女を帰すべきではなかったのかもしれない』
『自分から戦場を去ることも出来ないのなら、下手すればまた・・・』

その通りになった。
そして彼女は、死んで開放された、戦いから。

『あしたをもらったの』

ステラの声が聞こえたような気がした。
込み上げるものがあった、「護れなかった」のだ。自分もまた。
護ろうとした、がそれはとても表面的で彼女だけを護ろうとしてもそれは元の木阿弥だったということに、気付いていなかった。
だけれど、自分はあの時そうしなければ立ち行かなかったのだ。
自分は正しいと、得た力はこうして使うべきだと信じて疑わなかったから。

シンはムウの胸倉を締め上げる手をだらりと下ろした。あの時には見えなかったものが、今になって少し見えたからだ。どうして俺たちは戦ったのかが・・・。
「坊主?」
ムウは急に怒りのボルテージが下がっていったシンを気遣うように呼んだ、項垂れて握ったこぶしが震えていた。
彼の葛藤が伝わってくる。それに引き摺られるようにムウもまた考える。
ステラが帰って後、ムウは彼女の記憶を消した、それが最大限出来る優しさだった。それが生き残るため与えられた条件の中では最上の処置だったのだ、そう信じるしかなかった。だからせめて戦場で出会ってしまってもステラには解らない様にとそう処置した、そして願った。この拡大した戦場の中で彼らがもう一度出会うことがないように、と。
だが、現実は戦うことになってしまった。
彼らの存在意義は戦うことであった、そうしないと生きる権利もなくなり生きることも出来なかった、そう育ってきただから仕方がない。ならその条件の中で最良の方法で護ってやろうと、思い込んでいた自分が愚かしい。
どんなに奇麗事を言っても彼らは”兵器”として多くの人を殺しそれを指揮していたのは自分だ、どうなるか知らなかったわけでもない。自分もまた生き残るためにしたことだった。
結局彼らを死なせてしまい、自分だけこうして生き残った。

「・・・言い訳にしか聞こえないだろうが、あの子供たちは戦うことでしか生きられなかった───戦いが無くならない限りあったかい世界にはいけなかったんだ」
戦うために作られた存在だったのだからこういうのも変な話だが、確かにそうなのだ。
戦争に勝つために、コーディネーターに対抗するために作られた兵器だったのだから。根本の争いがなくなれば、彼女らのようなものは要らないのだ。
「そう解っていながら、俺はお前と約束した・・・。」
本心はシンの申し出を受け彼女を解放してやりたかった、がそれもあのときの自分には無理な相談だった。約束したのはシンの気を満足させステラを返してもらうための打算的なものもあったが返してくれれば彼女を生かすことは出来た。
だがそれも・・・自分の、大人の都合だと自嘲する。

「俺は・・・、あの時は解ってなかった、アンタが約束を守ってくれると信じていた」
シンはそんなムウの胸中を知ってか、こう呟くようにいった。
「ほんとうにこれでいいのかと、思うこともなかったのかもしれない」
そうだ。
オーヴは連合に加担したから”敵”。
ステラには何の罪もないから助けて護ってあげないといけない。
その何の罪もないステラを殺したから、そして本国が決定した”敵”だからフリーダムは撃墜す。
アスランは裏切ったから、いらない。
その時々の感情、命令だけで突っ走ってきた。それは確かに正しかったかもしれない、だが誤っていたかも知れないのだ。
可能性を考えず、目に見えるもの見たもの感じたものだけが自分の真実なのだと受け止めてきた。
だからこそ、戦争の根が”ロゴス”だというのならそれを討ち、その後の世界は確かに議長の言うところが戦争を無くすと感じた。
ジブリールを討ち、ロゴスは事実上消え次はプランを反対したオーヴ。もしオーヴを討てていて、その後またプランを反対するものがいればまた自分は戦ったのか?議長の言われるままに・・・。
それでよかったのか?
そして自分の意思では将来を決められない世界、決められた世界にまた戦うだけの存在が生まれはしなかったか?

今になって思う。アスランの言葉。
『勝手な理屈と正義』
その意味は・・・。
それを認めてもらえる安易な方へと自分は傾いてはいなかったか?

「ステラを護りたい、それだけで、死なせたくないならどうすればいいか。『ネオ』と呟く彼女をアンタの所に返せば生きることが出来る、そんな単純な考えだけで俺はステラを託した。ステラ以外にもステラのような子がいると薄々わかっていながらも彼女さえ助ければ自分の正義は守れると思っていたのかもしれない」
「おまえ・・・」
「・・・アンタが悪いんじゃない、ステラも・・・」
戦わねばならなかった自分、世界。それが何故起こったのかを考えるべきだったのだろうか。

ふう、とムウはため息をついた。思いつめたシンの様子に思わず出たそれだった。
この子はまだ子供で、その純粋さ故に正義感が強く感受性に富み、意志を貫ける力こそが本物の強さなのだと突っ走ってきたのだろうと思う。
「・・・さんざん戦ってきた、大人なんだがな。俺は」
ムウが呟く、シンは項垂れたままその独白めいた言葉を聴いた。
「護りたいもの、そのために戦ってきた。その時々にその対象が違ってはいたが、確かに護りたいもののために戦うんだ、人は。俺もそうだ。そしてその護りたいものこそ、自分の欲しいものなんだと俺は理解している」
はっきりと告げられる強い意志。
『欲しいもの』
その言葉にシンははっとした。アスランに言われたことが反射的に頭に浮かんだ。

「地球軍の将校だったネオ・ロアノークには護りたいものなどなかった。だが今本当の俺に戻った今はそれがある。そしてこれからは護りたいもののために戦いは続く。戦いとは別に剣を合わせることだけではない、それが彼女らへの手向けになると思いたい・・・、シン。君も護りたい何かのために戦ったのだろう?」

シンはそれには答えられなかった。
まだ───。



恐ろしく久しぶり・・・。
シンの心理を書くのにかなり悩みましたので・・・。
どう変化していくのだろうとなかなか表現できず。
まだ気に入らないのですが、う~ん。
彼の幼い正義感とか力への依存とかをどうやって気付かせるか、ムウやアスランとの話の中で、とか考えていたのですがうまくいきませんね・・・。思うと書くのはやはり違う。
あ~書き直すかもしれません。
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