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「明日へ続く光9」~GSD#50自己補完小説

自己満足で書いていますのでクレームなしでお願いしますね…興味のある方は1からどうぞ。



「僕はメンデルで、研究されていた人工子宮で生まれたコーディネーターで」
淡々と、キラは抑揚もなくそう語り始めた。
「僕にたどり着くまでに多くの犠牲を払った末の研究結果、なんだ」
アスランは一瞬キラが何を言っているのか、理解できなかった。だが頭の中で噛み砕いていくとうちにキラの生まれてきた背景の異常性に気づく。
研究?
犠牲?
結果?
それらが重なって意味を成し、キラができた・・・?

「コーディネートされても不安要素はある、現に子供が出来にくいとか、望みどおりの容姿じゃなかったとか能力が開花しないなんていうことがあるんだよね。それをすべて払拭するため父は、僕の父は研究を進めていた。結果その不安定要素はすべて母体にあると考えたらしい。だから、解決法としては母体から胎児を引き離し人工子宮で完璧な管理によって育てることが最良という説を数々の実験から裏づけていったんだろう。その末に母体から取り出された僕だけが母の温もりのない所で生まれた」

何のために、どうしてキラは生まれたのか。
それが今キラの口から語られていた。
アスランはキラがあの優しくおおらかなヤマト夫妻の実子ではないということはカガリの持ち込んだ写真や先の大戦のメンデルでの出来事以降感づいていたが、しかし。どうして?キラが?
何の因果なのだろうか?

さまざまな考えが空回りしている、キラはそんな戸惑いを隠せないアスランを置いて次々と言葉を繋ぐ。
「その実験の過程で多くの胎児が犠牲になった、と思う。なかなか成功しない実験、そして資金繰りも難しくなった父へ援助を申し出た人がいた。自分のクローンを作ってくれれば資金は援助する、己の命を金で買おうとした男がいたんだ。」
「・・・!なっ」






クローンは倫理上禁止されている。だがその技術は確立されて久しい、やろうと思えば出来る、のだ。
「父は、資金が欲しくて、そしてそれは”出来る”ものであったから、応じた。そしてそのお金は結局、僕を生む土壌になった」
畳み込むように少し早口でキラはアスランの受けているだろう衝撃を受け取ることなく言い切る。息を詰めて聞くアスランは混乱するばかりだった。
「作った方は僕を、作りたいがために。作らせた方は自分の跡継ぎが欲しかったがために、そうただ自分の欲望のために僕らは生まれた」
僕ら。
そうだ、これはキラとレイの話しなのだとアスランは今更ながらに思い当たる。

では?レイが?その時のクローン?
キラを作るために、レイが作られた?でもそれがどうしてキラを憎む対象になるのだろうか?
どちらとも直接的な関係はないように思える。
よく、わからない。

「レイが、クローン?だというのか・・・でどうしてキラを憎む?」
自然と出た疑問、それを聞いてキラは目を閉じて、すっと息を吸った。これからキラが告白していくことはきっと、アスランが思ってもみなかったことだろうと思うからだ。
レイのことを語るときあの人のことを避けては通れない、そう彼の元上司ラウ・ル・クルーゼのこと。
メンデルで相対したのが自分の上司だったとアスランは知っていただろうか?ディアッカが知っていればも聞き及んだかもしれないが、確かめたことはなかった。

先の大戦で、ムウとキラの知られざる秘密を暴いたクルーゼ、世界を陥れる原因の一部に自分たちがいたこと、実際の憎しみの対象として認識されて私怨で戦った事実がある。
キラは憎んでなどいなかった、クルーゼのことは。
だがあの人は関係のない世界を私情で巻き込み欺き・偽り、そして目的のために利用していった、そんなあの人と暴走する世界に歯止めをかけたかった。どんなことをしても、自分の手を汚しても。
彼はあの時既に絶望して、何もかも自分と共に屠るつもりでいた、短い生に生まれついた自分を哀れみながら自分の存在を確かなものにしたいがために、人の業を嘲笑いながら破滅を選んだ。
それが許せなくて、その上関係のないフレイを目の前で殺されて、自分はあの時確かに殺意を覚えたのだ。それさえもあの人の術中に嵌ったことだったのではないかと思いつつもあの時自分の持てる限りの力で、彼を滅したのは事実だ。
それが今でもトラウマになっていると自覚している。アスランは思いもよらなかっただろう。そんな風に考えながらキラは話を続ける。

「レイはラウ・ル・クルーゼと同じ遺伝子を持っている」
その、今になって出てきた名前にアスランは驚きを隠せない。
「クルーゼ・・・隊長?」
「うん、彼が人工子宮の研究資金を作るために作られた存在。だけどクローニングはある欠点を克服できずに彼らを苦しめ自分の存在意義を霞ませた」
アスランが思い出すクルーゼ。
あのキラを討ってしまったと心で血を流しながら、怪我を抱えて何も出来ず苦しんでいた時にネビュラ勲章の授与、そして特務隊に配属になったと報告に訪れた上司。
部下の働きを満足そうに称えるような、会話。
あの仮面の下は、どんな表情だったのだろうと今更ながらに違和感が噴出する。
「テロメアが、短いんだ」
アスランは何度目かの驚きと共に漠然と思った。
あの仮面が隠していたそれとは…?と。
「そのために、作らせた本人には失敗作と捨てられて存在意義がなくなり。己の過去も現在も存在さえ疑問に思う中作った本人を恨み、自分が生まれて来た原因は人が持つ欲望だと行き着き…世界を道連れにしようとした」
人を寄せ付けない雰囲気で孤高を持し一線画していた上司のそれは持って生まれたものとして他人とは違う生への諦観と抗い続ける生への執着だったのか?
「その過程で"最高の”と冠されたコーディネーターは成功していたことを知った」
キラも人の欲望の果てに出来上がった同じような存在だった、その時クルーゼはどう思ったのだろう…。何をどうしたから憎むべき対象と認識したのだろう、キラを?
「僕がこんなに"普通に"育っていたことに驚き、そして戦いに巻き込まれこうして生き延びたことを、あの人はあながち"最高の”コーディネーターとの願いのもとに作られた夢を信じたくなったとか、言って」
"普通”それが不思議なぐらいだとクルーゼは言外に言っていた。彼は自分の生まれを知っていたらキラは"こちら側”に来ていたはずだと言いたかったかのように。だからこそ目障りであったのかもしれない。
「皆僕のようになりたいと願い羨み、そうすればまた人は争うのだろうと、だから在ってはならないと、戦った」
行き過ぎた欲望が世界を混乱させ戦いを生む、他人よりも上へそれは何を生んだか?先の大戦は確かにコーディネーターとナチュラルという違いが戦いを生んだ。そして今回も。
「だけど、どう思われても僕は僕以外の誰でもなかった」


人はより高みへと人より上にと思う心がある。しかしそれはそれぞれの努力によってのみ為されなければいけないと思う。
確かにアスランの目の前のキラはどんな風に生まれてきたとしても「キラ」という者以外ではない。
生まれの云々は関係ない、今までキラがたどってきた道こそ、キラを作っているのだ。出自だけでキラを恨むなど、お門違いだ。

キラは不条理な考えをぶつけられているのだ、と思うと憤りが満ちる。
なのに、クルーゼに始まりどういうわけかレイにも敵視されることをキラは今、それを受け止めている。こうして毅然と。自分に謂れがない非のない憎しみまでも受け止めている。

こんな風になれるまでキラは、何を思ってどんな風に自分と対話したのだろう。
戦後2年。
あるときは無為な日々を送り、濁った瞳で無言の時を過ごしたキラは一人で自分をもう一度取り戻したのだ。
偽ることなく。
何者にも冒されない自分を見つけたのだ。
だからこそ、毅かった。

(もっと早くに知っていたら…)
アスランはキラが独り苦しんだだろうその過程に自分が居なかった。
それが悔しい。

だがもし2年前に告白されていても、キラに言う言葉は一つたった一つしかない。
「俺にとってもキラがどんな風に生まれたとしても、キラはキラだ、今のキラしかありえない」
話してもアスランは受け止めてくれると信じていた。疑ってはいなかった。けれどそれは自分の希望で。こうして言葉にしてくれるまでは不安で一杯だったのだ。
キラは一瞬体をこわばらせてアスランを凝視した。硬く凍ったようだった体が次の瞬間ほっと熱くなって、柔らかい微笑を生んだ。
戦後苦しんだ自分の存在を。
アスランは一言で吹き飛ばす。
もう吹っ切ったことだったと言うのに目頭が熱くなった。
「ありがとう」と呟いた。

認められること。
自分が大切な人に受け止めてもらえること。
解りあえること。

こうして告白した自分の出生のこと。
やっと言えたなという安堵感よりも、自分をありのままに受け入れてくれるアスランの変わらぬ気持ちにキラはこれから話す様々なことに勇気をもてるように思えた。







後書き;中途半端な終わりですがこれにて、長くなりすぎ。キラの出生に関しては誰も正確には知らないのではないか、伝えていないのではないかとうんめいを見終えて思いました。一番近い所にラクスがいるとは思いますが、話してはいないと思います。
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