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「明日へ続く光(仮)」8~GSD#50自己補完小説

何があったのか。

それを説明するのは難しいことだとキラは咄嗟に思った。
だからといって言葉にしない、話をしないということを選択はしない、アスランには隠し事はしたくない。どんな些細なことであろうが「話し合わない」ということが何を引き起こすか、キラは身をもって知っていた。支配される感情のままに自分をぶつけてしまい相手を慮ることができないような「対話」は歪みを生じる、どんなに相手を信用し信頼していても。
そうしてまた戦ってしまったから。
それを知っているからこそ、アスランもこうして歯を食いしばって感情をコントロールして、事実を知りたいのだと訴えているのだろう。

何もかもを話してそれから二人で考えたい、キラはそう思うのだ。だからそっとアスランの頬を撫でて、「全部話すから」と瞳で訴えてそれから自分を落ち着かせるために大きく息を吸って、話を始めた。

「キミにレクイエムの阻止に向かってもらった後、僕はレジェンドと対峙した」

ミネルバに配属された機体、デスティニーとレジェンドの操縦者のことは少しだけ聞き及んでいた。オーヴでもその2機とは戦ったが、そのときには明確に感じることができなかった、何か。
それを今日レジェンドのパイロットに感じた。
既視感、いやそれよりも強烈な感覚が脳を直接揺さぶった。そして感じた憎悪。それは確実に自分を葬るために放たれた負の感情だった。

『わかるだろう?ラウ・ル・クルーゼだ』

いるはずもない亡霊の名を吐いてキラを追い詰めた。

確かに感じるものはあの怨念だった、世界を恨み、世界を破滅させようとした男。対極に存在した男は全てを恨むことで終わらせようとしていた。それをこの手で阻み、滅したのは自分だ。
それを忘れられるわけはない。今でも克明に思い出せる感覚なのに。

そこにいるのは誰だ?

違う、彼ではない、たとえ同じ遺伝子を持っていたとしてもそれはあの人ではない。だから、言った。

『命は何にだって一つだ』と。
『それはキミのものだ』と。

だが、レイ自身がキラを恨み憎み殺したいほどの情動をぶつけてきていたのか、それとも彼も何かの怨念に取り付かれていたのかは本当の所はわからないのだ。
ただ、レイは今まで自分を殺してきた、いや自分というものを選択できなかったのではないかと思えた。
あの、議長との対面を経た今だからそう思えるだけで真実はレイの胸の内にある。だからアスランへの説明もこんな風に曖昧になるのは仕方のないことだったのかもしれない。


「レイは、僕を憎んでいたのだと思う、いやそう思い込んでいたのかもしれないけれど、でもそう願ったのは間違いないと、思う」

「…どういう…意味だ?」
疑問は呟きとなって漏れる。
何の接点もないはずだと言い聞かせた。なのにどうしてキラをレイが憎むのだろうか。キラはプラントに住んだこともない、フリーダムのパイロットとしてもその存在は公にはされず知る者は先の大戦の第三勢力として戦った戦友位だろう、なのに。もし知っていても噂に過ぎない確証のないものだろう。なのに、何を理由にキラを憎むというのだろうか?

「…殺したい程に僕を恨んでいた」

そのキラの言葉にどきりとした、思い出す場面があったからだ。

ミネルバでレイとシンが肩を寄せ合い一つのモニターでフリーダムの攻略方法を話し合っていた姿、程なく下った命令はAAの討伐に自信ありげに出撃するシンを見送るレイの姿で。

撃墜に成功した時、称えるように正論を吐くその台詞じみた言葉に感じていた違和感。

「…どうして、そんな風に考える?」

自問風に出た言葉、だが内心は。
(やはり)
と思っていたのだ。前にも漠然と感じていたことがあった。


アスランには恐ろしく一致していく符合のようなものを感じて心臓が高鳴った。
シンのインパルスと対峙したときのフリーダムを見るその睥睨の眼差しの奥、冷静な仮面の下に隠された凶暴な怨念。
それを感じなかったか?

何故?疑問は深まる。何があるというのだろう、キラとレイの間に。
本当にそんな感情があったとすれば、何があってその憎まれていると思う相手をキラはつれて来たのだろう。

「キラ・・・?」

キラの瞳は全てを悟っているかのように落ち着いていた、それがアスランには腹立たしい。自分の知らない何かを隠しているという証拠と感じるからだ。思い当たると怒りがこみ上げる。

「何を隠している、キラ」

自分でもその声が低音に絞り出されたのがわかるほどに怒りを含んだものとなって放たれた。

キラは、そのアスラン疑問が怒りに変化していく瞬間に見入っていた。自分を見詰める瞳が深い湖の底のような静謐な翠が恐ろしいほどに美しくて吸い込まれていくようだった。その瞳が余計、キラを冷静にさせた。

今まで、言えなかった。

自分は何者なのか、を。

先の大戦の中で知った自分の出自は自分を戦いの中心へ引き寄せた。人の欲望で生まれたあの男と自分、戦うしかなかったその結果は終戦後キラを無力感に苛んだ。戦うことの虚しさや後悔や哀しみ自責様々な感情が溢れ出て纏まりがつかず自分を深い闇に叩き込んで、長く尾を引いた。時間がゆっくりと進むような南の島で自分を取り戻すのに時間を要すほどにキラを打ちのめしていた。
しかしその時間がキラに自分を振り返ることを許した、自分が何者なのかを考えさせた。
どう自分を否定してもどう嘆いても、「自分」という存在は唯一で、逃れられないのだと自覚させ、そしてラクスに言われたあの言葉を、理解したような気がした。
『世界は貴方のもの、貴方も世界のもの、生まれ出でこの世界に在るからには』
世界は、生きる世界はこうしていつも優しい。そこに生きる自分は何を求めて戦ったのかと見詰め直し、欲しいものが何なのかを自問し、それを掴む為に生きているのだと思い知った。それは世界の誰もが同じように持っていてそれこそが”希望”というもので、自分もそれをかなえるために生きていいのだと納得するのに多くの時間を費やした。
その答えを得る間、特にアスランやラクスやカガリには、本当に本当に心配をかけた。何も聞かずにキラのありのままを受け入れてくれている。きっとそれはこれからも変わらないだろう、そんな全てに感謝して今ここに自分はいる。

(もう大丈夫、今は護るべきものがわかっているから)

自分の全てを曝け出す勇気は、蓄えていた、きっと。だからこそ何もかも彼に話す、先に進むために。

自分は変わらないのだ、何者にも、変わることはないのだ。

「僕もレイも、人のあくなき欲望の結果に生まれた者。そしてその対極に僕達は配された。だから彼は僕を憎んで僕は彼を助けたいと思ったんだ」

語られ始めた言葉の真相はまだわからない、しかしまっすぐ見詰めてくるキラの紫の瞳には迷いはない。
それを眩しく感じるアスランだった。









11月になってしまいました。もっとさくっと書くつもりだった。
あ~実は一度書いたものが消えてかなり不貞腐れ…また書いたものです。
キラの出生の秘密は皆真相を知らない、あ、ムウだけ知っている、ということです。
どうにも長編書きなもので心情語り長くてごめんなさい。次はさくっと書きます・・・。書くようにします・・・。
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