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『光の標』~運命49話アスラン独白風味

『許しませんよ、ギルを裏切るなんて』

───時々、あの夜のことを思い出す。
裁きを下すかのような、神官の瞳。
高貴なブルーが睥睨する、その様子を俺は異質なものとしか受け取れなかった。
逃げるのだと、あいつは認知したとたんそこからはもう言葉など通じなかった。打ち放たれる銃弾にもちろん容赦はない。
それほどまでのひたむきさは何なのだ。


■■光の標■■

人それぞれ、信じるものは違う。その価値も、万人が同じ評価など下さない。十人十色の人々がこの世界を構成する。
同じものなど、ひとつとないそれこそがこの世界の理。

だがそれを許さないと、
あの瞳はまっすぐに裁く。

まるでたった一つしか知らない。
それしか知らないからそれだけを信じている。
無垢な、真っ白な子供の価値観で。

幼い子供が向ける親への絶対の信頼を、絶対の庇護の元で何も疑うことのなく己が価値観だけを至上とする、それを否定されて、怒りのやり場もない激昂が銃を乱射させたような、そんな雰囲気だった。


そうか、子供、なんだ。


唐突に降って来た答え。
それは己の未熟さも浮き彫りにして、自分もまだ子供だったのだと再認識させられた。そして胸に去来する苦い思い。

(俺は子供を置き去りにしてきたのか?)

もしかすると善悪も、人の心の温かさも、優しさも。
世界がどうして眩しいのかさえも。

何も知らない清澄な心のままで。

人と人の係わりや成り立ちも愛し合うことも。
愛し合える愛しささえも。
何も知らない子供。

言葉だけが成熟しているのか、かの人が絶対だというのなら。
巧みな言葉に引き混まれ、狭い世界で選択や思考することさえ知らず。
植え込まれた正しさだけで世界を見ていたのなら。

そしてその盲信がシンにも波及するほどに、その心を掴んでいったとしたら。


俺は───。





「アスラン」


蠢くような思考の闇に一筋の光が見える。

俺の光標。

もし、キラが5年前プラントに来ていれば。
もし、オーヴからプラントに上がる俺がキラを伴っていれば。
もし、連合に加盟したオーヴに居場所が無くキラが自らプラントに来ていれば。

同じ立場に立っていれば。
俺は子供のままに彼らと同じように受け入れていた可能性があった、過去。
そして現在。

でも、キラがここにいてくれた。
本当にいいのかとまっすぐな瞳で俺に問いかけ、自分自身を追い込み、苦悩して。
その姿が俺を導く。
俺もまた、キラと同じように悩み自分に問いかけキラに問いかけ答えを出すことに躊躇い遠回りしながら歩んできた。

光がそこにあるから。


「行こう、キラ」

「うん」


置き去りにした子供らを導く光に俺はなれるだろうか。
細くても揺れない強いまっすぐな光に。


先を行くフリーダムのその鋼鉄の翼に太陽光が反射して一筋の光となって眩いほどの残光とともに突き進む。



どうか、彼らにも光を。







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『光を我に』 #49レイ独白

俺の中に脈々と流れる憎悪の念。

遺伝子レベルにまでそれは染み付いているのかもしれない。

繰り返される。

もう一人の俺からの、内なるメッセージ。


■■光を我に■■


もう一人の俺も同じように恨み、妬みながらこうして過ごしたのか。
人の何倍もの早さで駆け抜けていく時間の中で焦り、逸り、何もかも諦めて絶望し。
それでもこれだけは成し遂げるとまた立ち上がり、血反吐を吐いて今ここにいる俺のように。
だが、どんなに望んでもどんなに抵抗しようとも指の間を零れ落ちる砂のように、さらさらとこの命は日々冥府に近づく。
近づくにつれ聞こえる声。
先に逝ったもう一人の俺が、遺伝子を通して囁く。


「キラ・ヤマト、お前だけは許さない」と。


それは俺の声になって、俺の意志になった。


飽くなき人の欲望が見せた夢。
それは現実となってそこにいる。
同じくして生まれた奴だけが光の中にいる。

俺にはそれだけで、理由になる。

本当はどうでもいいプラン、どうせ俺には死後の世界なのだ。
人がどうなろうと構いはしない。
だが俺の、俺たちのような存在だけは二度とは生まれない世界になるだろう。
それでいい、それならいいだろう。
その世界には人の欲望だけで生まれてきた者はいらないのだ。
だから。


「お前も許さない」

光が堕ちる瞬間をこの手で。
それを俺の生きた証に。


「レイ・ザ・バレル、レジェンド発進する」


そうしてこの憎しみの呪縛に終止符を打つのだ。











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最期に見る光(運命49話シン独白)

奈落のそこに堕ちていく・・・。

何も見えない闇、光は何もなく何も見えない。

これが俺の選んだ道か?


■■最期に見る光■■


俺のほしいもの。
平和?
家族?

何なんだろう。


護りたい人は護れず戦争で狂っていくものを俺はこの身で痛いほどに感じた。
俺と同じように、力のない何の罪も無い人間が犠牲になっていく。
マユ、父さん、母さん。
護れなかったから力を、守り通せる力がほしくてザフトに入った、認められて専用のMSも拝領した。

なのに。

ステラは護れなかった。


何故?
俺が弱いから?

どうして?
あの人が裏切り者だから?


本当は違う。

わかっている。


『マユで~す、今電話にでられません』

もう遠いマユの声、こうして聞いていないと人の記憶は曖昧になる、自分の決意も曖昧になる。
今ここ立っている自分は、何を求めたのか。

(戦いを終わらせることだろう!しっかりしろ!)

自分に叱咤しても、体が闇に取り込まれる感覚は消えない。

『その怒りの本当のわけも知らないままただ戦ってはダメだ』

あの人の声が聞こえた。

裏切り者と罵り、俺が撃ったあの人。
死んだはずの、殺したはずの、あの人。


生きていた。
嬉しい、本当は嬉しかった。叫び出してしまいそうなほどに。
俺はあの人を殺してはいなかったのだから、討ってはいなかったのだから。
一番に俺を認めてくれた人を俺は、本当は・・・。

『思いだせシン、お前は本当は何が欲しかったんだ?』


欲しいもの?決まっている。
安寧に暮らせる世界だ。人が己が欲望で世界を混乱させない世の中なら、悲しみはない。
こうして俺のように苦しまなくてすむ。
どうしてその世界を望んではいけないというのだ。
俺が戦ってその日常が戻るなら、もう戦争という悪しきものに魅入られない人が居なくなるのなら、これでいいいいはずだ。


ホントウニ?ソレガホシイノ?

永遠にある信じていた家族のぬくもりが唐突に途切れたように突然になくなるのなら俺は欲しくない。
優しい世界に帰してくれるって、約束も叶えられないような世界はいらない。
間違ってない、俺の選択は間違ってない。
これでいいんだ。


ホントノホントウニホシイモノハ?


『よくやったシン、君の力だ』
体の芯が熱く滾った瞬間、あの人に認められた、受け入れられた喜びも、もう遠い過去だ。
お前ならできると信頼されたあの日の夕焼けも、もう今は思い出せない。
思い出さない。

本当に欲しいものは手に入らない。
そう、手にはできないのだ、それを知った。

吹雪の中の海で鋼鉄白い翼を貫いたとき。
2度目に殴られたのは、あの人の憎悪だったと気づいたときに初めから信頼などされてはいなかったとわかったのだ。
そしてあの人は自分の欲しいものを護るために、俺たちに背を向けた。
それを証拠に紅い機体はフリーダムと俺の間にまるで生身の自分を晒すかのような真剣さで立ちはだかった。

闇に塗れた俺に一筋に光を運ぶかのように、突然俺の前に現われて。
また裏切っていく。

闇の中でもがく俺。
いつの間にか闇はひたひたと俺に近づき、取り込まれてしまった。
いくらもがいても光も届かない。

その光はいくら手を伸ばしてももう手に入らない。ならば。


『お前は本当は何が欲しかったんだ?』


貴方ですよ。



「シン・アスカ、デスティニー行きます」


もう、戦うしかない。
貴方とは。

















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